放射能データの“不確かさ”とは何か？測定値の信頼の幅と誤解されやすいポイント
みなさま、日々お疲れさまでございます。
この記事では、不確かさについて解説しています。
不確かさをあまりご存知ない方にも分かりやすくとの思いで記述してます。専門的には間違った表現をしている場合もありますが、ご了承ください。
「不確かさ」は数値が持つ「信頼の幅」
マシマロ～、今日は「不確かさ」について教えてほしいんだけど。
ほう。随分マニアックな言葉知ってるな～。
放射能に関するデータを見てると、よくこの「不確かさ」っていうのが出てくるんだ。
「不確かさ」でデータを評価することは、放射能分析に関わらず分析の世界では主流になりつつある手法やからな～。
そうなんだね。そもそも「不確かさ」って何？
「不確かさ」は、簡単に言うと数値が持つ「信頼の幅」やな。
「信頼の幅」ってどういう意味？
身近な例で考えてみるか。今日の気温は何℃や？
今日は「37℃」だね。
「37℃」か…。夏とはいえ暑すぎやわ。ビール飲みたなってきたな～。
「不確かさ」と何か関係があるの？
すまんすまん。この「37℃」やけど、厳密にはぴったり「37℃」ちゃうねん。
そうなの？
そうやねん。普段は意識せえへんけど、数値ちゅうのは必ず幅を持っとる。「37℃」いうても実際は「36℃」かもしれへんし「38℃」かもしれへん。データっぽく書くと、「37℃±1℃」やな。
それがさっき言ってた「信頼の幅」なの？
そやな。いいかげんな温度計で測定しとったら、もしかすると「37℃」いうても「32℃」かもしれへんし「42℃」かもしれへん。この場合は、「37℃±5℃」やな。「±5℃」の部分が信頼の幅のイメージやな。
何となく分かるけど、いまいちピンとこないね…。
結果を過信せず、より正しい評価ができるようになる
今日の降水確率が「70%」て言われても「必ず雨」ちゃうやろ？
そうだね。天気予報もけっこう外れるもんね。
「雨が降る可能性は高いけど、降らへんかもしれへん」という幅を持ってるわけや。これも一種の「不確かさ」の表現やな。
なるほど。確かに「今日は雨」だけ言われても、どのくらい信じたらいいか分かんないもんね。
さっきの気温の話もそうやけど、同じ「37℃」いうても、「38℃」まで上がるのか「42℃」まで上がるのかで全然ちゃうやろ。
そうだね。42℃まで上がるんだったら外出したら危ないね…。
数字だけやなくて、「信頼の幅」つまり「不確かさ」を一緒に示してくれたら、こっちもどれくらい信頼してええか判断できるわけやな。
「不確かさ」は、数値を過信せず、より正しく判断するために大切な考え方なんだね。
「不確かさ」は世界共通
これまで信頼の幅を示すのに、「誤差」が多く使われとってんな。
誤差は聞いたことあるね。
詳しい話はせえへんけど、誤差は世界各国で算出方法が異なっていて、測定値同士を比べたり評価したりすることが厳密にはできてへんかった。そこで、世界共通で評価できる指標ということで「不確かさ」が登場したわけやな。
だから、不確かさ評価が今後、国際的に主流になりつつあるんだね。
福島原発のALPS処理水の海洋放出あるやろ。東電が放射能を測定して結果を公表してるねんけど、世界が注目してることもあって、政府は東電に対して、放射能データだけじゃなくて「不確かさ」についても示すように要求してるくらいやからな。
「不確かさ」を示すこと自体が、信頼できるデータであることの証なんだね。
今後、放射能に関するデータを見るときに、「不確かさ」ってあったな～て、頭の片隅に置いとくだけでもいいと思うわ。