α線、β線、γ線の計測について
この記事では、放射性物質から放出される主な放射線であるα線(アルファ線)、β線(ベータ線)、γ線(ガンマ線)の計測について解説しています。
放射性物質が出す放射線は、α線、β線、γ線の3種類がメイン
我々が放射線を計測する主な目的は、放射性物質が持つ放射能を知るためです。
放射性物質は目に見えません。でも放射性物質は放射線を出します。放射線であれば測定器でキャッチすることができます。

放射線の情報を頼りにして、間接的に放射性物質の放射能を把握しているというわけやな。

放射性物質は、主にα線、β線、γ線と呼ばれる放射線を出します。(中性子線は核分裂などの特殊な環境下で放出される放射線です。今回の記事では割愛します。)
どの放射線を放出するかは、放射性物質の種類ごとに決まっています。
放射線の詳細について知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。
放射線の計測について
では、それぞれの放射線と計測について簡単に解説します。

魚(サンプル)から放出される各放射線のイメージ
α線(アルファ線)
α線はヘリウム原子核そのものです。ウランやプルトニウム、ラジウムといった質量数の大きい放射性物質が出す放射線です。
α線は、物質を透過する力が非常に弱い放射線です。上図のようにサンプルにα線を放出する放射性物質が含まれていても、α線はサンプルより外に出てくることはありません。
そのため、α線を放出する放射性物質を分析する場合、化学的な処理を行って他の物質から放射性物質のみを分離・精製する必要があります。
β線(ベータ線)
ベータ線は、電子そのものです。β線は、質量数の小さいものから大きいものまで多くの放射性物質が出す放射線です。
β線も、α線ほどではありませんが、物質を透過する力は弱いです。上図のようにサンプルにβ線を放出する放射性物質が含まれていても、β線はサンプルより外に出てくることはあまりありません。
そのため、β線を放出する放射性物質を分析する場合、α線と同様に、化学的な処理を行って他の物質から放射性物質のみを分離・精製する必要があります。

β線は、次にお話するγ線とセットで放出されるケースが多いんやけど、「トリチウム」や「ストロンチウム」など、β線のみを放出する放射性物質も存在するから、注意してな~。
γ線(ガンマ線)
γ線は、光子です。γ線も、質量数の小さいものから大きいものまで多くの放射性物質が出す放射線です。
γ線は、放射線の中でも物質を透過する力が非常に高いです。 上図を見ていただくと、γ線はサンプルを突き抜けて外へバンバン出ていきます。
そのため、γ線を放出する放射性物質を分析する場合、α線やβ線のときのように、わざわざ化学的な分離・精製を行う必要がありません。極端に言えば、サンプルをそのまま測定容器に詰めれば測定ができます。
多くの放射性物質がγ線を放出しますが、γ線を放出する放射性物質でよく知られているのは、放射性セシウムや放射性ヨウ素などです。